最近よく耳にする言葉、「プラントベース」。
ベジタリアンやヴィーガンなどの菜食主義に関心のある方なら1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
プラントベースとは、植物由来の食べ物を中心とした食事法のことです。
近年では、健康志向の高まりからプラントベースな食事法に取り組んでいる人が増えてきています。
実際に、プラントベースな食事をとることであらゆる側面からメリットを得ることができます。
そこで今回は、以下の内容を中心に解説していきます。
- プラントベースの概要
- プラントベースと菜食主義の違い
- プラントベースな食事のメリット
それではまず、プラントベースとは何かについて見ていきましょう。
Contents
プラントベースとは?
プラントベースは、英語で“植物”を意味する「Plant」と“由来”を意味する「based」から成る言葉で、日本語では「植物性由来の素材をベースにする」という意味になります。
このプラントベースの食事法は、動物性食品を食べないというよりも、より多くの植物性食品を選択して食べるという考え方です。
そのため、プラントベースな食事ではおもに野菜や果物など植物性食品で構成された食事を摂ります。
また、植物性食品である全粒穀物やナッツ、種子や豆類なども積極的に摂ります。
そして、プラントベースに当てはまる多くの食事は、鉱物や添加物、卵、牛乳などを含みません。
例えば、代替肉として大豆を原料とした食品を使ったり、牛乳の代わりに豆乳を使用したりと、プラントベースでは植物性食品を多く摂ります。
このように、プラントベースな食事では、高度に加工された食材ではなく、なるべく人の手が加えられていない自然食品を食べることが多いです。
一方で、肉や魚などの動物性食品や乳製品をいっさい摂取しないという訳ではありません。
プラントベースな食事では、どんな食品を避けるかなどのルールは決まっていないのが特徴としてあります。
つまり、プラントベースを実践する人でも、動物性食品を食べることがあります。
このような植物性食品を中心的に食べながら、動物性食品も時には食べる食事のことをプラントベースと言います。
プラントベースと菜食主義の違い
プラントベースとは植物性食品を中心的に摂る食事のことを意味すると解説しました。
では、プラントベースと同じように、植物性食品を中心的に摂る食事法として「菜食主義」がありますが、その違いはどこにあるのでしょうか。
主な菜食主義には、ベジタリアンやヴィーガン、フレキシタリアンなどがあります。
実は、ベジタリアンやヴィーガンの食事法とプラントベースには、明確に違う点が存在します。
しかし、菜食主義の中でもフレキシタリアンはプラントベースの食事とほぼ同じ取り組み方です。
そこで、それぞれの菜食主義とプラントベースの食事法を比較してみましょう。
ベジタリアンやヴィーガンとの違い
ヴィーガンやベジタリアンなどの菜食主義は、動物性食品を食べない食事法です。
特にヴィーガンは肉や魚だけに限らず、卵やハチミツ、牛乳などの全ての動物性食品を食べません。
そのため、動物性食品を時々食べるようなプラントベースの食事法とは異なります。
プラントベースとヴィーガンとの違いは以下の通りです。
・プラントベース:できるだけ多くの植物性食品を摂る食生活。主な動機は、自身の健康改善や環境問題の解決のため。
・ヴィーガン:動物性食品はいっさい摂取しない食生活。主な動機は、動物保護・宗教的考えのため。
このように、これらの共通点は動物性食品を摂取しないことだけであり、動機や目的は異なります。
また、ベジタリアンについても同様、プラントベースの食事法とは異なります。
完全菜食主義であるヴィーガンと比べると食べられる食品は増えますが、ベジタリアンも菜食主義であるため、肉や魚は食べません。
そのため、菜食以外の食品も取り入れることができるプラントベースと比較して、ベジタリアンとは取り組み方が異なっていると言えます。
このように、ヴィーガンやベジタリアンなどの菜食主義は動物性食品を食べないことにフォーカスしますが、プラントベースは植物性食品を積極的に摂っていこうという考え方です。
取り組み方から、取り組む目的まで、これらの菜食主義とプラントベースとでは違うことが分かります。
フレキシタリアンとプラントベースは同じ?
フレキシタリアンとは、英語の“柔軟”を意味する「flexible」と、“菜食主義”を意味する「vegetarian」を掛け合わせた造語で、柔軟な菜食主義という意味です。
このようなフレキシタリアンは、基本的に菜食主義の食事をとりますが、ときどき肉や魚などの動物性食品も食べます。
また、フレキシタリアンに取り組む目的は、健康改善や環境保護におけるメリットを受けることにあります。
これらの目的はプラントベースと重なる部分ですが、フレキシタリアンは動物福祉におけるメリットにも目を向けた食事法です。
そのため、健康改善や環境保護におけるメリットを得るために取り組んでいるプラントベースとは少し違う点もあります。
しかし、食品制限がないことや取り組むメリットから、プラントベースとフレキシタリアンはほとんど同じ食事法と言えます。
そして、両者とも柔軟に取り組むことができるため、ストレスフリーでメリットだけを享受できます。
プラントベースやフレキシタリアンの食事法は、さまざまなメリットを受けることができるため、今後さらに日本でも浸透していくでしょう。
なお、フレキシタリアンについては「準菜食主義「フレキシタリアン」とは?ベジタリアンやヴィーガンとの違いも徹底解説」の記事で解説しています。
プラントベースのメリット
では、プラントベースの食生活を送るメリットについて詳しく見ていきましょう。
プラントベースには3つのメリットがあります。
- 健康改善におけるメリット
- ダイエット効果におけるメリット
- 環境負荷の軽減におけるメリット
それぞれのメリットについて見ていきましょう。
健康改善におけるメリット
まずはじめに、プラントベースな食事をとることで健康改善におけるメリットを享受できます。
プラントベースな食事では植物性食品を多く摂るため、食物繊維や抗酸化物質をバランス良く摂取できます。
そのため、プラントベースは血圧が上がりにくいとされており、心臓病のリスクにも心配いらないのです。
また、その他にも、プラントベースな食事をとることで「肌荒れがしにくい」「糖尿病になりいくい」など、あらゆる健康改善におけるメリットを得ることができます。
ダイエット効果におけるメリット
プラントベースな食事では植物性食品を摂るため、必然的に余分な脂肪やカロリーを抑えることができます。
その結果、無駄な脂肪のない食生活を送ることができ、体脂肪が減るメリットがあります。
また、野菜を多く摂ることで腸内環境がよくなり、基礎代謝が高まることで、痩せやすい身体になります。
野菜には食物繊維が多く含まれているため、腸内環境を整えることができるのです。
そのため、植物性食品を中心としたプラントベースの食事では、ダイエット効果におけるメリットにも期待できます。
環境負荷の軽減におけるメリット
実は、植物性食品を中心としたプラントベースの食生活には、環境負荷を軽減するメリットがあります。
近年、深刻化してきている地球温暖化ですが、その最大の原因として畜産が指摘されています。
「ウシのゲップが地球温暖化を進めている」や、「畜産業が森林伐採に影響している」など諸説ありますが、いずれにしろ、お肉などの動物性食品は植物性に比べて温室効果ガスの排出量が多いです。
また、水質汚染や土壌汚染の原因としても畜産業が大きく関わっているとされています。
水質や土壌が汚染されては、作物が育たず十分な生活を送ることができなくなります。
そこで、動物性食品をできるだけ摂取しないプラントベースな食事をとることで、地球温暖化の抑制や水質・土壌汚染の改善につながるとされています。
このように、環境にもメリットのある食事がプラントベースになります。
プラントベースが注目されている理由
プラントベースが注目されている理由としては以下の3つが考えられます。
- 健康志向の高まり
- 環境問題に対する意識の変化
- 世界の平等性に注目する
健康志向の高まり
近年、オーガニック食材を選んで健康的な食生活を送る方や、ジムや家でトレーニングする方など、健康的な生活を意識している方が増えています。
特に、コロナウイルスの蔓延によって自分の時間が増え、多くの方が自分自身の健康を見直すようにりました。
そのため、人々は発がん性のある加工肉や、健康リスクのある赤身肉などの摂取を控えるようになりました。
そこで、その代わりとして、低脂肪で低カロリーな食事を実現でき、あらゆる側面にメリットのあるプラントベースの食事が注目されるようになりました。
環境問題に対する意識の変化
先ほどもお伝えしましたが、環境問題を深刻化させている1つの原因は畜産です。
気候変動や海面上昇、森林伐採など、多くの環境問題によって地球はダメージを受けています。
このような現状を修復するためにも、環境に優しくない畜産は見直されています。
そのため、植物性食品を中心としたプラントベースな食事は注目されているのです。
これ以上、環境問題を助長させないためにも、世界的にプラントベースな食事に期待が集まっています。
そして、環境改善におけるメリットを得るためにもプラントベースな食事は注目されています。
世界の平等性に注目する
SDGs(持続可能な開発目標)は「貧困をなくそう」という目標を示しています。
そしてこれは、プラントベースな食事によって達成できるとされています。
なぜなら、プラントベースな食事では大量の水や穀物が消費されたり、工業機械を使用したりすることがないからです。
一方で、畜産は大量の水や穀物が消費されていたり、工業型の畜産に力を入れていたりと、世界の格差を広げる要因となっています。
そのため、植物性食品を中心とするプラントベースな食事を送ることで貧富の差をなくすことにつながると考えられています。
世界的な平等性を実現するためにも、動物性タンパク質にこだわるのではなく、プラントベースのような植物性の食事を受け入れる姿勢が求められているのではないでしょうか。
このように、プラントベースな食事をとることで、世界を平等にするメリットにも期待できます。
まとめ
今回は、健康や環境に優しいプラントベースの食事法とそのメリットについてご紹介しました。
近年では、海外だけではなく日本においてもプラントベースの食事法は浸透してきており、市場規模も拡大しています。
これを機に、今後も注目が集まると思われるプラントベースの食事法に、挑戦してみてはいかがでしょう。
また、当記事を通して、プラントベースと似た食事法である菜食主義との違いにおいても理解いただけたら幸いです。
プラントベースは、植物性食品を多く摂るための食事法です。
そのため、完全に動物性食品を摂らないのではなく、ときどき肉や魚も食べることができるため、始めやすいといったメリットがあります。
健康や環境改善におけるメリットを持ちながら、ストレスフリーで簡単に始められる食生活なので、気になった方はぜひ試してみてください。