近年、菜食主義の食事スタイルは世界的に広まっています。
菜食主義とは、肉や魚などの動物性食品を食べず、その代わりとして野菜や果物などの植物性食品を中心に食べる食生活のことを言います。
このような菜食主義には、ベジタリアンをはじめ、当サイトでも良く解説しているフレキシタリアンやヴィーガンといったものがあります。
それぞれ、菜食主義の種類によって、取り組み方は多少変わってきますが、基本的には野菜や果物を中心とした食事スタイルです。
このような食生活を送る菜食主義では、健康改善やダイエット効果などさまざまなメリットを得ることができます。
しかし、菜食主義はタンパク質不足に陥りやすいです。
タンパク質不足になることであらゆる側面において、デメリットが生まれてしまいます。
そこで、菜食主義者がタンパク質不足にならないために、「タンパク質の正しい摂り方」や、「菜食主義者におすすめの高タンパク質食材」について解説していきます。
Contents
菜食主義者こそ知っておきたいタンパク質の重要性
タンパク質とは
まず、タンパク質とは何かを解説していきます。
タンパク質は肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などに多く含まれている栄養素です。
タンパク質の主な働きは、体をつくることで、髪の毛や筋肉、細胞、臓器などの原料になっています。
実際に、タンパク質は炭水化物・脂質と合わせて三大栄養素と呼ばれており、体を構成する成分において高い割合を占めています。
成人の体組成(体重60kgの場合)
- 水分:62%
- タンパク質:16%
- 脂質:15%
- ミネラル:6%
- 糖質:1%未満
水分を除くと、タンパク質と脂質の割合が大きいことが分かります。
このように、タンパク質は私たちの体をつくる重要な役割があります。
さらに、タンパク質には以下の重要な役割があります。
- エネルギー源になる
- ダイエット効果を促す
タンパク質が与える体への影響について、それぞれ見ていきましょう。
タンパク質はエネルギー源になる
タンパク質は、炭水化物や脂質と同じように、エネルギー源になる栄養素の1つです。
ですが、主なエネルギー源として使われるのは炭水化物です。
そして、摂取したタンパク質がそのままエネルギーに変わるわけではありません。
では、タンパク質はどういったときにエネルギー源になるのでしょうか。
実は、炭水化物や脂質からのエネルギー供給が不足した場合に、タンパク質が分解されてエネルギー源になるのです。
そのため、タンパク質は生命維持のために重要と言えます。
だからこそ、菜食主義で肉や魚を食べないにしても、植物性食品からタンパク質を摂ることは大事なのです。
しかし、タンパク質を取り過ぎによって摂取カロリーが多くなることは良くないです。
そこで、菜食主義者がちょうど良いエネルギーを摂取するためにも、タンパク質のエネルギー量がどれくらいか見てみましょう。
それぞれの栄養素1gを摂取したときに発生するエネルギー量は以下の通りです。
- タンパク質:4kcal
- 脂質:9kcal
- 炭水化物:4kcal
これを1つの基準として、自分の活動量にあったタンパク質量を摂取するようにしましょう。
菜食主義者は植物性食品からタンパク質を摂るので、低カロリーでありながら高タンパクな食事を摂ることができるのではないでしょうか。
ダイエット効果を促す
タンパク質は体をつくるイメージが強いですが、実はダイエット効果を促進させる役割があります。
なぜなら、タンパク質を十分に摂取することで、筋肉をつけることができ、体の基礎代謝が上がるからです。
この結果、カロリーを消費しやすくなり、痩せやすい体質になります。
そのため、痩せるためにはタンパク質は欠かせないのです。
ダイエットに取り組んでいる人や菜食主義者こそ、健康改善やダイエットのためにタンパク質を十分にとるべきです。
タンパク質が不足すると
タンパク質を摂取することで筋肉や臓器の原料となったり、エネルギーに変わったり、人によってはダイエット効果を得たりすることができます。
しかし、タンパク質が不足すると体にさまざまな悪影響が出てしまいます。
タンパク質不足が招く悪影響において特に身近に起こりうるものとして、主に3つあります。
- 筋肉量の減少
- 肌や髪のトラブル
- 集中力・思考力の低下
またその他にも、タンパク質には保湿効果があるため、不足すると体が冷えやすくなる可能性もあります。
このように、タンパク質が不足することで人体に悪影響が起きます。
タンパク質不足が懸念される菜食主義者は特に、健康や美容のためにも気をつけましょう。
タンパク質を取り過ぎると
タンパク質の不足に加えて、タンパク質の過剰摂取は体に大きな負担をかけることがあります。
特に、肉や魚などの動物性タンパク質には脂質も多く含まれているため、タンパク質を取り過ぎることで肥満を招く可能性があります。
他にも、腸内環境の乱れや肝臓・腎臓にかかる負担からの内臓疲労も高まる可能性があります。
しかし、菜食主義は肉や魚は摂らないため、タンパク質の過剰摂取は避けやすいでしょう。
どちらかというと、菜食主義者はタンパク質が不足しないように意識して食事をとりましょう。
菜食主義者はタンパク質不足に陥りがち?
ベジタリアンやヴィーガンなどの菜食主義では、タンパク質不足に陥りがちです。
なぜなら、肉や魚といったような、タンパク質が多く含まれている食品を食べないからです。
その代わりとして、菜食主義者は肉や魚ではなく、野菜や豆類などの植物性食品からタンパク質を摂るようになります。
しかし、動物性食品に比べて植物性食品に含まれるタンパク質量が少ないのも現実としてあります。
さらに、植物性食品からタンパク質を十分に摂取することが難しいため、必要量のタンパク質をとれません。
そのため、菜食主義の食生活ではタンパク質不足に陥ってしまう可能性が高いのです。
そこで、菜食主義者がタンパク質不足にならないための、タンパク質の正しい摂取方法を解説していきます。
菜食主義におけるタンパク質の正しい摂取方法
ここからは、タンパク質の正しい摂取方法について見ていきます。
そして、菜食主義で上手にタンパク質を摂るにはどうすれば良いかも見ていきましょう。
1日3食の食事をとる
菜食主義者がタンパク質を十分に摂取するために、毎日3食を必ず食べるようにしましょう。
研究によると、朝食・昼食・夕食にかけてそれぞれ均等にタンパク質を摂る方が、筋タンパク質の合成を高めることができると報告されています。(参考)
つまり、1日のタンパク質の必要量を摂っていたとしても、摂取のタイミングが偏っていると、タンパク質を摂取するメリットが得られない可能性があります。
また、菜食主義においては、植物性食品からタンパク質を摂る必要があるため、少ない食事回数ではタンパク質を十分に摂れない可能性もあります。
ここから、菜食主義者における1日3食の重要性が分かります。
効率的にタンパク質のメリットを得るためにも、ただ単に必要量のタンパク質を摂るのではなく、1日3食バランス良くタンパク質を摂るようにしましょう。
1日に摂取すべきタンパク質はどれくらい?
私たちの体をつくったり、健康を保ったりするために非常に重要なタンパク質ですが、実際にどれくらい摂取するべきなのでしょうか。
【タンパク質の1日当たりの摂取推奨量】
「年齢」 | 男性 | 女性 |
18~29歳 | 65g | 50g |
30~49歳 | 65g | 50g |
50~64歳 | 65g | 50g |
65~74歳 | 60g | 50g |
75歳以上 | 60g | 50g |
タンパク質の1日当たりの摂取推奨量は男性は60~65g、女性は50gとされています。
そして、これらのタンパク質の摂取量は意外と簡単に摂ることができます。
なぜなら、タンパク質源になる食品は、普段から食生活に含まれているものが多いからです。
しかし、これは肉や魚を含んだ場合を指します。
菜食主義では、肉や魚を食べられない分、他の食品でタンパク質を摂らなくてはいけません。
そこで、菜食主義者は高タンパクな植物性食品を摂る必要があります。
摂取すべき量を理解して、植物性食品から、正しいタンパク質の摂取をしていきましょう。
プロテインやサプリも活用しよう
菜食主義者は、タンパク質を摂ることが難しく、つい不足してしまいがちです。
また、植物性食品からタンパク質を摂るために、いちいち食品や献立を考えるのがストレスに感じる方もいると思います。
そのような場合は、プロテインやサプリで気軽にタンパク質を摂ることもおすすめです。
プロテインはタンパク質を摂取できるだけでなく、腹持ちも良いです。
そのため、食べ過ぎ防止にもつながります。
しかし、プロテインやサプリはあくまで「補助食品」です。
そのため、「食事をつくるのが大変だから」「プロテインやサプリの方が簡単」という理由で、毎食プロテインやサプリで済ませるのは良くありません。
これでは、他の栄養素を摂れなくなり、健康を崩してしまう可能性があります。
そこで、タンパク質が不足していると感じたときに、適切に活用するようにしましょう。
フレキシタリアンのすすめ
菜食主義者の悩みとして、植物性食品からタンパク質を摂取することが難しく、タンパク質不足になってしまうことが挙げられます。
そこで、タンパク質不足を解決するためにも、フレキシタリアンになることをおすすめします。
フレキシタリアンとは、準菜食主義と呼ばれており、基本的には菜食主義の食事をとりますが、ときどき肉や魚も食べることのできる柔軟な菜食主義になります。
フレキシタリアンは細かな食品制限がないため、タンパク質をはじめ、あらゆる栄養素をバランス良く摂取できます。
また、ときには肉や魚を食べることができるため、ストレスを感じることなく菜食主義の食生活を送ることができます。
無理をしていきなりベジタリアンやヴィーガンになり、肉や魚を食べない生活を送るのは難しいです。
そのため、最初はフレキシタリアンに取り組み、そこから肉や魚を徐々に減らしていくことをおすすめします。
なお、フレキシタリアンの取り組み方については「必見!【フレキシタリアンダイエット】の正しい取り組み方を徹底解説!あなたの理想を叶えましょう!」で解説しています。
菜食主義者におすすめの高タンパク質食材
菜食主義におすすめの高タンパク食材にはどのようなものがあるのでしょうか。
植物性タンパクは大きく分けて4つの食材から摂ることができます。
- 豆類
- 野菜類
- 穀類
- 果実類
では、それぞれ見ていきましょう。
豆類
タンパク質が多く含まれている豆類には、「大豆」「レンズ豆」「ひよこ豆」「あずき」「納豆」「豆腐」「豆乳」などがあります。
豆類は、低カロリーでありながら、お肉に匹敵するほどのタンパク質量を含んでいます。
また、タンパク質以外にも、ビタミンや食物繊維、カリウムなどのさまざまな栄養をバランス良く摂取できます。
そのため、健康改善やダイエットを目的とした菜食主義者にとっては、積極的に取り入れたい食材の1つです。
野菜類
タンパク質を多く含んでいる野菜には、「アスパラガス」「ブロッコリー」「えだまめ」「芽キャベツ」などがあります。
これらの野菜類はヘルシーでありながら、タンパク質も多く含んでいます。
菜食主義者にとって、普段食べる野菜からタンパク質も多く摂取できることは、メリットが大きいと言えます。
また、これらの野菜類は手軽に食べられるだけではなく、調理方法も様々にあるため、工夫を凝らせば味に飽きることもありません。
野菜でタンパク質を多く摂りながら、食事も楽しみましょう。
穀類
タンパク質を多く含む穀類は、「とうもろこし」や「そば」です。
「とうもろこし」は穀類の中では高タンパクであり、さらにタンパク質の体内利用に欠かせないビタミン6が肉類と同じ程度含まれています。
一方、「そば」は高タンパク質でありながら、必須アミノ酸も多く含んでいます。
そのため、健康的な体づくりを目指す菜食主義者におすすめです。
果実類
タンパク質を多く含む果実には「アボカド」や「バナナ」などがあります。
特にアボカドは、果実の中では高タンパクであり、アミノ酸バランスもトップクラスとされています。
また、アボカドには疲労回復に効果のあるビタミンB群が豊富に含まれています。
しかし、脂質も多く含んでいるため、菜食主義者は摂取量に気をつけましょう。
菜食主義者は特に、タンパク質だけに目を向けず、さまざまな栄養素も意識した食事を心がけましょう。
今回紹介した、菜食主義者におすすめの高タンパク質食材は、動物性食品と比べると、タンパク質量は劣ります。
しかし、植物性食品にはビタミンやミネラルなどさまざまな栄養素が加えられた食品が多いのが特徴です。
そのため、植物性食品からタンパク質を摂ることで
- タンパク質を補いながら、さまざまな栄養素を同時に取り入れることができる
- タンパク質を摂りながらエネルギー量や脂質を抑えたメニューを食べられる
といったようなメリットを得ることができます。
だからこそ、菜食主義者が植物性食品から十分なタンパク質を摂ることは重要なのです。
以上、菜食主義におすすめの高タンパク質食材について見てきましたが、今回紹介した以外にもタンパク質を多く含む植物性食材はたくさんあります。
ぜひ、さまざまな高タンパク質食材を菜食主義の食生活に取り入れてみてください。
その結果、菜食主義者でもタンパク質不足に悩まされず、健康的な生活を送れるようになります。
なお、菜食主義におすすめの高タンパク食材に関しては、「【菜食主義におすすめ!】タンパク質を多く含む植物性食品20選!」で紹介しています。
https://www.be-flexitarian.com/high-protein-ingredients-recommended-for-flexitarians/まとめ
今回は、菜食主義者がタンパク質不足にならないために、タンパク質の正しい摂取方法について見てきました。
また、タンパク質の不足が体にどう影響するかも理解できたと思います。
菜食主義において、タンパク質不足は悩ましい問題であり、タンパク質が不足することで体に悪影響が起きてしまいます。
だからこそ、必要量のタンパク質を摂取するためにも、正しいアプローチでタンパク質を摂るようにしましょう。
そして、菜食主義の食事の中に、今回紹介したような高タンパク質な植物性食品を積極的に取り入れると良いでしょう。
その結果、菜食主義者でも簡単かつ効率的にタンパク質を摂れるようになります。
タンパク質を正しく摂取して、菜食主義の恩恵をさらに得ましょう。