近年、世界中で注目されている菜食主義の食事法。
実際に取り組んでいる方の中で、「菜食主義の食生活は難しい」や「タンパク質が上手く摂れない」といった悩みを抱えている方はいませんか?
ベジタリアンやヴィーガンといった菜食主義には、さまざまなメリットがありますが、その反対にタンパク質不足が懸念されます。
タンパク質が不足することで、健康や美容の面において悪影響が出てしまいます。
そのため、菜食主義の食事では肉や魚を食べられない分、植物性食品からタンパク質をとる必要があります。
そこで、この記事では菜食主義者に向けて、タンパク質を多く摂ることができる植物性食品を紹介していきます。
菜食主義とは
そもそも菜食主義とは、肉や魚などの動物性食品を摂らず、野菜や果物、豆類といった植物性食品を中心とした食生活のことです。
菜食主義の中にも、さまざまな種類がありますが、基本は植物性食品を中心とした食事を摂ります。
このような菜食主義の食事を摂ることで、低カロリーでありながら豊富な栄養素を摂取できるため、さまざまな健康リスクを低減させることができます。
また、菜食主義の食事は動物性食品を摂らないため、必然的に余分な脂肪を避けることができ、ダイエット効果にも期待することができます。
しかし、菜食主義は肉や魚などの動物性食品を摂ることができないため、タンパク質不足が懸念されます。
では実際に、タンパク質が不足すると、どのようなリスクがあるのでしょうか。
菜食主義者こそ「タンパク質が不足するとどうなるか」を理解しておきましょう。
タンパク質が不足するとどうなる?
タンパク質を摂取することで筋肉や臓器の原料となったり、エネルギーに変わったり、人によってはダイエット効果を得たりすることができます。
しかし、タンパク質が不足すると体にさまざまな悪影響が出てしまいます。
タンパク質不足が招く悪影響において特に身近に起こりうるものとして、主に3つあります。
- 筋肉量の減少
- 肌や髪のトラブル
- 集中力・思考力の低下
このように、タンパク質が不足することで人体に悪影響が起きます。
またこれ以外にも、タンパク質には保湿効果があるため、不足すると体が冷えやすくなる可能性もあります。
低カロリーで栄養豊富とされる菜食主義でも、タンパク質不足には気をつけたいです。
菜食主義でタンパク質不足にならないためには
では、菜食主義の食事でタンパク質不足にならないためにはどうすれば良いのでしょうか。
そこで、菜食主義者がタンパク質不足を避ける3つの方法を簡単に紹介します。
- プロテインやサプリを使う
- フレキシタリアンになるttあ
- 植物性タンパク質を摂る
上記のように、菜食主義の食事において工夫をこらせばタンパク質不足を避けることができます。
なお、詳しくは「菜食主義者がタンパク質不足にならないためには!?健康・美容のためにタンパク質を正しく採る方法を徹底解説!」に書きました。
プロテインやサプリを使う
プロテインやサプリは補助食品として扱われます。
そこで、タンパク質不足を感じたときに摂ると良いでしょう。
しかし、いくら簡単にタンパク質を摂れるからといって、毎食プロテインやサプリでは他の栄養素をバランス良く摂取することができません。
そのため、プロテインやサプリを適切に活用していきましょう。
フレキシタリアンになる
フレキシタリアンとは、菜食主義の食生活でありながら、ときどき肉や魚などの動物性食品も食べるといった柔軟な菜食主義です。
動物性食品も摂れて食品制限がないため、ベジタリアンやヴィーガンと比べてタンパク質を摂りやすいです。
また、肉や魚を食べられることからストレスフリーで菜食主義の食生活を送ることができます。
「野菜ばかりで続かない」「菜食主義の食事は物足りない」このように感じる方はフレキシタリアンをおすすめします。
なお、フレキシタリアンに関しては「準菜食主義「フレキシタリアン」とは?取り組むメリットを徹底解説!」に書きました。
植物性タンパク質を摂る
菜食主義がタンパク質不足にならないためには、植物性タンパク質を多く含む食品を摂らなければいけません。
しかし、植物性タンパク質は動物性タンパク質に比べてタンパク質の含有量が少ないです。
そのため、タンパク質をより多く含んだ植物性食品を摂っていく必要があります。
では、タンパク質を多く含む植物性食品にはどのようなものがあるのでしょうか?
そこで、菜食主義におすすめのタンパク質を多く含む植物性食品を紹介します。
菜食主義におすすめ!タンパク質を多く含む植物性食品20選
菜食主義におすすめのタンパク質を多く含む植物性食品にはどのようなものがあるのでしょうか。
植物性タンパク質は大きく分けて4つの食品群から摂ることができます。
- 豆類
- 野菜類
- 穀類
- 果実類
では、それぞれの食品群から、植物性タンパク質を多く含む食材をひとつずつ見ていきましょう。
豆類
まず、豆類から見ていきましょう。
菜食主義におすすめな植物性タンパク質を多く含んでいる豆類には、以下のようなものがあります。
- 大豆
- レンズ豆
- ひよこ豆
- あずき
- さやえんどう
- グリーンピース
- えんどう豆
- 納豆
- 豆腐
- 豆乳
では、それぞれの食材ごとに解説していきます。
なお、( )内は100gあたりのエネルギー量(kcal)とタンパク質量(g)を示しています。
1.大豆(422kcal 33.8g)
植物性タンパク質を多く含む食材として大豆が有名です。
大豆には植物性タンパク質が100gあたり33.8gも含まれています。
これは、お肉に匹敵するほどの豊富なタンパク質で、畑の肉とも呼ばれているほどです。
また、さまざまな料理に使うことができ、使い勝手も良いです。
菜食主義でも特にタンパク質不足が気になる方は、積極的に摂るといいでしょう。
2.レンズ豆(352kcal 23g)
日本ではあまり馴染みのないレンズ豆ですが、実は低カロリーでありながら栄養が豊富です。
ゆでたレンズ豆には100gあたり23gの植物性タンパク質が含まれています。
それに加えて、食物繊維やカリウム、鉄分やビタミンなどさまざまな栄養素をレンズ豆で摂ることができます。
そのため、菜食主義にとってレンズ豆は摂るべき食べ物と言えます。
レンズ豆をあまり食べたことないという方も、1度チャレンジしてみる価値はありそうです。
3.ひよこ豆(170kcal 10g)
ひよこ豆に含まれている植物性タンパク質の量は、100gあたり10gと高タンパクです。
さらに、ひよこ豆は低脂肪のため、ダイエット中や脂質が気になるときでも安心して食べられます。
菜食主義にとって、ひよこ豆はタンパク質を摂るだけではなく健康面においてもメリットのある食材になります。
4.あずき(142kcal 9g)
あずきは、和菓子にもよく使われる「あんこ」の原料となる食材です。
あずきは高タンパクであり、さらにビタミンやカリウム、亜鉛、カルシウムなどさまざまな栄養素が豊富に含まれています。
そのため、栄養面での魅力が大きく、菜食主義には嬉しい食材です。
また、あずきは豊富な栄養素を含んでいることから、むくみ解消や疲労回復など、健康改善にも効果的です。
ぜひ、菜食主義の食事の中に取り入れてみてください。
5.さやえんどう(34kcal 3.1g)
さやえんどうには、植物性タンパク質や炭水化物、植物繊維やその他ビタミン類が豊富です。
具体的には、身体を内側からキレイにするといわれているBカロテンであったり、健康的な身体作りをするのに欠かせないビタミンCはトマトの焼く4倍も含まれています。
そのため、さやえんどうを摂ることで健康改善を目指せます。
健康改善を目的としている菜食主義者にとって、さやえんどうを食事に取り入れることをおすすめします。
6.グリーンピース(93kcal 6.9g)
グリーンピースは小さいですが、菜食主義に嬉しい栄養が豊富です。
グリーンピースには、植物性タンパク質やミネラル、ビタミン、さらに食物繊維なども含まれています。
そのため、栄養価が高く、疲労回復やむくみ改善、便秘改善にも効果的です。
また、グリーンピースは冷凍や缶詰などで通年手に入るのも魅力です。
さまざまな料理に使っていきましょう。
7.えんどう豆(148kcal 9.2g)
えんどう豆には、植物性タンパク質をはじめ、内側から身体環境を整える食物繊維、身体のバランスを整えるカリウム、カルシウムなど幅広い栄養素が含まれています。
また、えんどう豆は栄養バランスが優れているだけではなく、寒冷地や乾燥地でも栽培が可能です。
そのため、水を多く使わず、環境負荷を低減させることができるメリットもあります。
実際に、えんどう豆の市場規模は拡大しつつあります。
菜食主義が植物性タンパク質を摂るためにも、そして環境負荷を低減させるためにも、えんどう豆は重要な食材になります。
「さやえんどう・グリーンピース・えんどう豆」これらはいずれも同じ植物です。
さやが柔らかいうちに早採りしたものが「さやえんどう」、成熟したものが「えんどう豆」となります。
グリーンピースはその中間で、さやえんどうが少し成長したもので、実がまだ未熟なものを指します。
それぞれ成長段階によって栄養価は変わってきますが、植物性タンパク質をはじめ、さまざまな栄養素を多く含んでいます。
そのため、料理や目的に合わせて、さまざまな面で取り入れていくと良いでしょう。
8.納豆(200kcal 16.5g)
分かりやすく表すと、納豆1パックに、8.5gのタンパク質が含まれています。
また、タンパク質に限らず、納豆1パックで脂質やビタミン、ミネラルなどの多くの栄養素ををバランス良くプラスできます。
そして、納豆はスーパーやコンビニに行けば簡単に手に入ります。
そのため、植物性タンパク質や他の栄養素を手軽に摂れるという点において、菜食主義に納豆はおすすめです。
9.豆腐(55kcal 4.9g)
豆腐の原料は大豆であり、低カロリーで植物性タンパク質を多く含んでいるのが特徴です。
豆腐には、木綿・絹・焼きなど、さまざまな種類があります。
これらにはそれぞれの特徴がありますが、その特徴に合わせて、料理の中に豆腐を柔軟に取り入れることができます。
例えば、豆腐を主材料としてタンパク質を補いたい場合は木綿豆腐、主食にプラスしてタンパク質を補いたい場合は絹ごし豆腐を使用するなど、その日の献立に応じて豆腐の種類を変えることでタンパク質量のコントロールも可能です。
菜食主義において豆腐は、タンパク質不足を解消するために使いやすい食材と言えます。
10.豆乳(45kcal 3.6g)
健康志向から、ヘルシーとも言える豆乳を利用している菜食主義者も多いのではないでしょうか。
豆乳は大豆を原料としているため、植物性タンパク質が豊富です。
そのため、牛乳とは違い、余分な脂肪分がなくヘルシーでもあります。
また、豆乳と牛乳の違いは栄養だけではなく、吸収速度にもあります。
豆乳は牛乳に比べて、吸収速度が遅く、吸収率が高いです。
吸収速度が緩やかな利点としては、結果的に満腹感につなげることができるため、ダイエットに向いているとも言えます。
そのため、ダイエット効果を目的として菜食主義の食生活を送っている方は、植物性食品の中でも豆乳を摂ることをおすすめします。
以上、「豆類」について見てきましたが、今回紹介した以外にも植物性タンパク質を多く含む豆類はたくさんあります。
ぜひ、菜食主義の食事にさまざまな豆類の食材を取り入れてみてください。
野菜類
次に、菜食主義におすすめの植物性タンパク質を多く含む野菜類について見ていきます。
植物性タンパク質を多く含む野菜には以下のようなものがあります。
- アスパラガス
- ブロッコリー
- 芽キャベツ
- マッシュルーム
- サツマイモ
それではひとつずつ見ていきましょう。
11.アスパラガス(22kcal 2.6g)
アスパラガスは、植物性タンパク質はもちろん、さまざまなビタミン類やカリウムなどを含んでいます。
その中でも、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸が豊富です。
アスパラギン酸は、新陳代謝を促し、疲労回復やスタミナ増強に効果があるとされており、体内でのタンパク質の利用に影響します。
植物性タンパク質を摂るために、そして体内でのタンパク質の利用を促進させるためにも、菜食主義の方はアスパラガスはおすすめです。
12.ブロッコリー(33kcal 4.3g)
ブロッコリーは、植物性タンパク質の占量量が野菜の中ではかなり多いです。
さらにビタミンCでは、レモンが100gあたり100mgなのに対して、ブロッコリーは100gあたり120mgとレモンよりも多いです。
そして、何よりブロッコリーは調理方法が重要で、植物性タンパク質やビタミンCを効率よく取り入れるためにも、ブロッコリーはゆでずに蒸して調理すると良いです。
菜食主義で効率的に栄養を摂るためにも、調理方法にこだわることも重要です。
13.芽キャベツ(50kcal 6g)
芽キャベツにも植物性タンパク質が多く含まれており、さらにビタミンCや食物繊維も豊富です。
実際に、100gあたりの栄養素の含有量をキャベツと比べてみると、ビタミンCは約4倍、食物繊維は約3倍、ビタミンB2は約7倍、Bカロテンはなんと約14倍も含まれており、小さいながらも栄養が詰まっていることが分かります。
このような芽キャベツは、サラダにするのはもちろん、シチューなどの煮込み料理にも向いています。
しかし、芽キャベツは1個あたり約7kcalと、野菜にしてはエネルギー量が高いです。
そのため、菜食主義の方は食べ過ぎには注意しましょう。
14.マッシュルーム(11kcal 2.9g)
シイタケやエノキなど、全てのキノコ類には良質な植物性タンパク質が含まれています。
その中でも特に、マッシュルームは低カロリーでありながら植物性タンパク質を多く含む食材です。
また、さまざまなビタミン類やカルシウム、カリウムなど代謝改善にも効果的な栄養素も多く含んでいます。
そのため、マッシュルームを食べることで菜食主義にとって嬉しい健康改善が期待できます。
煮汁やピザ、タコスなどさまざまな料理にマッシュルームを入れて、うま味と植物性タンパク質を効率的に摂りましょう。
15.サツマイモ(132kcal 1.2g)
サツマイモにも植物性タンパク質が多く含まれています。
また、視力や皮膚、免疫系の健康を促進するベータカロテンが豊富に含まれているため、健康改善にも役立つ食材です。
このようなサツマイモは、スムージにして摂取したり、夕食に追加したりと、どんな食事にも合います。
低カロリーで脂質も少ないため、タンパク質不足を感じる菜食主義者には、食事にサツマイモを少量追加するだけでもおすすめです。
穀類
次に、菜食主義におすすめの植物性タンパク質を多く含む「穀類」について見ていきましょう。
植物性タンパク質を多く含む穀類は2つあります。
- とうもろこし
- そば
これらについて見ていきます。
16.とうもろこし(99kcal 3.5g)
とうもろこしは植物性タンパク質が多く、タンパク質の体内利用に欠かせないビタミンB6が肉類と同程度含まれています。
しかし、とうもろこしは穀類に分類されるので糖質が豊富でエネルギー量が高いです。
そのため、菜食主義の方は食べ過ぎに注意が必要です。
菜食主義の食事でダイエット効果を得たい方は、カロリー計算もしながら上手に食べるようにしましょう。
17.そば(361kcal 12g)
そばは白米と比較するとカロリーが低く、植物性タンパク質を豊富に含んでいる食材です。
炭水化物の量も少なく、太りやすさを示す指標であるGI値は54で、白米の84と比較すると低い数字になっています。
そのため、そばは健康やダイエットに効果的な食品と言えます。
菜食主義こそ、そばを食事の中に積極的に取り入れましょう。
果実類
最後に、菜食主義におすすめする植物性タンパク質を多く含む果実を見ていきましょう。
植物性タンパク質を多く含む果実は3つです。
- アボカド
- バナナ
- ドライチェリー
それぞれの栄養価を見ていきましょう。
18.アボカド(187kcal 2.5g)
アボカドには、植物性タンパク質が豊富に含まれています。
また、血圧やむくみの改善に効果的なカリウムや若返りに効くビタミンEなど、その他の栄養素も含んでいます。
そのため、健康や美容のために摂りたい栄養素が詰まった魅力的な食べ物です。
しかし、アボカドは脂質を多く含む食材です。
栄養素が豊富だからと言って過剰摂取してしまうと、肥満や健康を壊す原因にもなります。
菜食主義の食事でアボカドを食べてメリットだけを得るためにも、アボカドの摂取量には気をつけましょう。
19.バナナ(86kcal 1.1g)
バナナの一番の魅力は低カロリーでありダイエットに向いているということです。
バナナ1本(100g)のカロリーはたったの86kcalです。
これは、ご飯1杯(150g)の252kcalや食パン1枚(80g)の208kcalと比べるとかなり低い値です。
さらに、植物性タンパク質に加えてさまざまな栄養素がバランス良く含まれています。
そのため、ダイエットや健康改善の面において、菜食主義にはメリットの大きい食材です。
20.ドライフルーツ(302kcal 3.45g)
近年では、ドライフルーツダイエットと呼ばれるものが浸透してきたほど、ドライフルーツには多くの栄養素が詰まっています。
中でも特に、ドライフルーツは多くの食物繊維を含んでおり、腸内環境を整えたり血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。
そのため、健康改善の面において菜食主義にもおすすめの食材です。
また、腹持ちも良いことから摂取量を考えながら食事に取り入れることでダイエット効果も生まれます。
菜食主義の方はドライフルーツを有効的に取り入れていくと良いでしょう。
まとめ
今回は「菜食主義におすすめの高タンパク質食材」について見てきました。
タンパク質不足に陥りやすいとされている菜食主義の食生活ですが、今回紹介した食品を積極的に摂ることで、タンパク質不足は防ぐことができます。
そして、今回紹介した以外にもタンパク質を多く含む食材はたくさんあります。
ぜひ、菜食主義の食事にさまざまな高タンパク質食材を取り入れてみてください。
菜食主義こそ、植物性タンパク質をしっかり摂って、健康・美容にメリットのある食生活を送りましょう。